ペッツベスト少額短期保険株式会社(本社:東京都千代田区。法人番号:5010001100297。以下、「当社」という。)については、保険業法第272条の22第1項の規定に基づき令和3年12月1日付及び令和4年3月15日付並びに令和4年5月25日付で求めた報告において、以下のとおり、保険金等の支払管理について重大な問題が認められ、少額短期保険業を的確に遂行するに足りる人的構成を有しないおそれがあるほか、普通保険約款に定めた事項のうち特に重要なものに違反したと認められる。
- 当社において発生した保険金等支払遅延に関して、当社は、当局あてに提出した報告において、保険契約者等からの保険金請求に対する査定手続き等に対応するための人員不足及び保険収支の悪化等により支払遅延が発生しているとしたうえで、人員の確保による保険金等支払管理態勢の構築、あわせて、外部からの資金調達を行うことにより支払遅延の早期解消を図るとしてきたところ。
- しかしながら、現在においても、当社は、適切に査定を進めるための十分な態勢の構築に至っていないほか、支払遅延の早期解消に向けた外部からの資金調達の実行に至っていないことから、未だ支払遅延の解消を図ることができておらず、支払遅延が常態化・長期化している状況にある。
- こうしたなか、今般、当社から、支払遅延の早急な解消に向けた改善策として報告を受けていた外部からの資金調達が不調となった旨の報告を受けたところであり、現状、支払遅延解消の目途も立たなくなっている状況にある。
- 適時・適切な保険金等の支払いは、少額短期保険事業を行なっていくうえで必要不可欠な基本的かつ最も重要な機能であるなか、このような当社の状況は、保険業法第272条の25第1項に規定する「少額短期保険業者の業務若しくは財産又は少額短期保険業者及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるとき」に該当するものと認められる。よって、当社においては、保険金等の支払遅延を早急に解消するための具体的な改善策及び支払計画を速やかに策定し、実行する必要がある。
- また、当社の普通保険約款(ペット医療保険(ペットネーム:獣医師がつくったペットのための医療保険)及び新ペット医療保険(ペットネーム:セレクトBEST)(以下、これらを「当該保険」という。)に係る普通保険約款)では、保険金の請求書及び必要書類を受領した日から、その日を含めて原則15営業日以内に、必要な確認を行ったうえで、保険金等を支払う旨定めているところ、上記のとおり、支払査定を含む支払事務を適切に行うための十分な態勢が整備されていないこと等から、当該保険に関し、調査が必要な請求を除いても多数の支払遅延が発生(当社報告によれば、令和4年4月末時点で3,641件(支払必要見込額約2億円))しているなど、現状、係る支払遅延を早期に解消することができない状況となっている。このような当社の状況は、保険業法第272条の26第1項第4号に規定する「第272条の2第2項各号に掲げる書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき」に該当するものと認められる。
2.このため、本日、当社に対し、保険業法第272条の26第1項第4号及び第272条の25第1項の規定に基づき、以下の内容の行政処分を行った。
(1)保険業法第272条の26第1項第4号(業務停止命令)
令和4年6月11日から令和4年8月10日までの間(ただし、当社の保険金等支払の正常化が図られ、その状況が下記(2)5により提出される業務改善計画の実施状況により確認される場合には、それまでの間)、少額短期保険業に係る業務のうち新契約の募集及び締結並びに契約更新にかかる業務(当局が保険契約者等の保護の観点から必要とされる業務として個別に認めたものを除く。)を停止すること。
(2)保険業法第272条の25第1項(業務改善命令)
- 保険金等の支払遅延を令和4年7月24日までに解消することのできる具体的かつ実現性のある改善策及び支払計画を策定すること。
- 今回の行政処分の内容及び保険金等の支払遅延の理由や解消の見通しにつき、顧客に対し十分な説明を行うこと。
- 経営管理態勢、保険金等支払管理態勢の抜本的な改善を行うこと(保険金等支払管理態勢の抜本的な改善については、保険金等の支払遅延の解消に向けて、未処理となっている支払査定を早期に実施し、要保険金等支払額を確定することなど、支払事務を正常化することを含む)。
- 本件処分にかかる経営責任の所在を明確にすること。
- 上記1から4に関する業務改善計画(具体策及び実施時期を明記したもの)を令和4年6月24日までに提出し、直ちに実行すること。
- 上記5の提出後、当該業務改善計画の実施完了までの間、1週間毎の進捗・実施状況を翌週月曜日までに報告すること(初回報告基準日を令和4年7月1日とする。)。
- 保険契約者等の保護の観点から、支出は真に必要なものに限定し、会社財産を不当に費消流用しないこと。なお、日次ベースの入出金の明細表を、翌朝までに提出すること(初回提出基準日を令和4年6月10日とする。)。
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