分譲マンションにこそ必要な家財の火災保険

マンション購入時、多くの金融機関が火災保険への加入を義務付けています。しかし、火災保険だけでは、万が一の際に十分な補償を受けられない場合があります。以下では、その理由と適切な保険選びのポイントを詳しく解説します。

1. 火災保険の適用範囲の限界

マンション購入時に加入する火災保険は主に建物（専有部分）に対して適用されます。これは以下のような内容をカバーします：

範囲	内容
建物部分	天井、壁、床、浴室、キッチン、トイレなど
設備	電気・ガス・水道設備、給排水管など

金融機関が設定する質権により、火災保険金はローン返済に充てられる場合があります。この場合、手元に残るお金が少なく、生活再建が難しくなるリスクがあります。

さらに、火災保険では以下の項目は補償されません：

集合住宅には「もらい火」や「もらい水」といった特有のリスクがあります。他の部屋で発生した火災が原因で、自分の部屋が水浸しになるケースも珍しくありません。また、マンションの築年数が経過するにつれ、上の階や共用部分の給排水管からの水漏れで自宅が水浸しになることが想定されます。

日本では失火責任法により、不注意による火災で隣の部屋に被害を与えた場合でも、出火元が賠償責任を負わない場合があります。そのため、近隣からの火災による損害は自己負担となります。

通常の火災保険では、地震や津波が原因の火災や建物損害には対応しません。これに備えるには地震保険が必要です。

地震保険を併用することで、以下の補償が可能になります：

地震保険の保険金は損害の程度に応じて支払われ、通常の火災保険ではカバーできない部分を補完します。マンションの場合は建物自体が地震保険の支払い対象となった場合、専有部分の地震保険も受け取れる場合があります。

家財保険は、家具や家電などの家財道具を火災や水濡れ・盗難などから守るための保険です。家財保険の金額設定は所有する家財の価値に応じて決めます。

火災保険、家財保険、地震保険を組み合わせることで、以下のような安心を確保できます：

これらを適切に設定することで、火災や地震などの予期せぬ災害に備えることができます。地震保険は建物や家財の保険とセットで加入します。

分譲マンションに住む方にとって、火災保険だけでは不十分なことが多く、家財保険や地震保険の併用が重要です。特に集合住宅では、近隣からの被害や地震リスクに備える必要があります。

保険を適切に組み合わせることで、災害時の経済的負担を軽減し、生活再建をスムーズに進めることができます。今一度、ご自身の保険内容を確認し、必要な補償を検討してみてはいかがでしょうか？