(1) 経営管理態勢
当社は、令和元年6月に、現預金の不存在及び不正会計処理等に関する重大な不祥事件(以下、「本件不祥事件」という。)(注1)が発覚し、当局から、事実関係等の報告を求める報告徴求命令を2度受けており、再発防止への取組として、ガバナンスの強化やコンプライアンス意識の醸成などの各種改善策を策定・実行するとしている。しかしながら、当社の経営管理態勢は、以下のとおり重大な欠陥が多数認められる。
取締役会の機能不全等
当社では、経営上重要な事項を特定の社員と親会社役職員で決定・実行するといった慣行が常態化し、取締役会は、本件不祥事件に対する再発防止策等の議論を実施しておらず、また、事業継続(業況改善)に向けた主体的取組みが欠如しているなど、機能不全に陥っている。
代表取締役社長による職責の不履行
代表取締役社長は、内部管理体制の構築に主体的に関与しておらず、本件不祥事件の再発防止に向けた取組においても、消極的な姿勢に終始し、当局に対し虚偽の報告を行うなど、経営者としての資質や適格性を欠いている。
監査役監査の未実施
監査役は、会計監査を実施しておらず、不正会計処理に対しても何ら対応を行っていない。
内部監査の実効性・信頼性の欠如
内部監査室長である代表取締役は、内部監査の実効性確保に向けた態勢を整備していない。
(2) 法令違反
虚偽の業務報告書を当局に提出し、虚偽の業務説明書を公衆縦覧に供する行為
当社は、平成27年12月に親会社が当社を買収した時点において、存在していなかった現預金を補填する目的で行われた親会社からの資金補填について、預金勘定の借記処理及び現金勘定の貸記処理という会計処理を行った結果、当局等に対し、貸借対照表、保険業法上の純資産額(注2)、ソルベンシー・マージン比率(以下、「SM比率」という。)に関して、虚偽の報告等を行っており、保険業法第272条の16第1項の規定に違反(虚偽の業務報告書の提出)しているほか、同法第272条の17が準用する同法第111条第1項の規定に違反(虚偽の説明書類の公衆縦覧)している。
平成28年3月 | 平成29年3月 | 平成30年3月 | 平成31年3月 | |
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虚偽の純資産額 | 94,383 | 55,696 | 39,587 | 11,611 |
実際の純資産額 | 4,788 | ▲38,955 | ▲47,289 | 253 |
虚偽の保険業法上の純資産額 | 96,927 | 58,386 | 42,616 | 14,827 |
実際の保険業法上の純資産額 | 7,331 | ▲36,265 | ▲44,260 | 3,470 |
(注釈)SM比率については、 平成29年3月期及び平成30年3月期において健全性の基準である200%を下回っている。
当局に対する虚偽報告
当社の代表取締役は、当局からの報告徴求命令等に対し、本件不祥事件に係る再発防止策等について、当社役員で検討・策定したことを装うために、実際には、取締役会を開催していないにもかかわらず、取締役会の議事録を偽造し、それを添付資料とする報告書を2度に亘り当局へ提出している。
また、同命令に対して実際には、内部監査計画を策定していないにもかかわらず、策定した旨の虚偽の記載をし、これを当局に提出しており、法令に違反している。
2.このため、本日、当社に対し、保険業法第272条の26第1項第3号及び第272条の25第1項の規定に基づき、以下の内容の行政処分を行った。
(1) 保険業法第272条の26第1項第3号(業務停止命令)
令和2年10月12日から同3年4月11日までの間(6ヶ月)、少額短期保険業に係る全ての業務(当局が契約者保護の観点から必要とされる業務として個別に認めたものを除く。)を停止すること。
(2) 保険業法第272条の25第1項(業務改善命令)
- 経営管理態勢の抜本的な改善を行うこと。
- 今回の行政処分の内容につき、顧客に対する十分な説明等の措置(事後措置)を実施すること。
- 本件処分にかかる経営責任の所在を明確にすること。
- 会社の財産の状況及び保険契約の管理の状況を早急に把握し、保険契約者保護に万全の措置を講ずること
- 上記1.から4.に関する業務改善計画(具体策及び実施時期を明記したもの)を令和2年10月19日までに提出し、直ちに実行すること。
- 上記5.の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和2年10月末日とする。)
上記内容は財務省北海道財務局より転記しております。
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