三井住友海上に業務改善命令

行政処分発表情報

処分の概要

金融庁は2025年3月24日、三井住友海上火災保険に対し、保険業法に基づく業務改善命令を発出した。主な理由は、個人情報保護法や不正競争防止法に抵触する可能性のある不適切な行為が多数確認されたためである。

命令の内容

  1. 法令遵守の徹底

    • 個人情報保護法や不正競争防止法を遵守するための管理体制強化

    • 社員や出向者に対する教育・管理の徹底

    • 保険代理店の顧客情報管理態勢の改善

  2. 経営管理体制(ガバナンス)の強化

    • 乗合代理店との取引に伴うリスク管理の強化

    • 保険代理店への社員出向に関する管理体制の見直し

    • コンプライアンス意識の向上と組織風土の改革

  3. 業務改善計画の策定と見直し

    • 2024年12月の業務改善命令に基づく計画の抜本的な修正

    • 改善策の実行と定着に向けた管理体制の強化

    • 2025年5月30日までに計画を提出し、直ちに実施

  4. 外部専門家によるレビューと責任の明確化

    • 業務改善計画の策定・実施に外部の専門家を関与させる

    • 過去の問題の原因分析を行い、経営責任の明確化

  5. 進捗報告の義務化

    • 3ヶ月ごとに改善状況を金融庁へ報告(初回報告は2025年8月末)

処分の理由

  1. 個人情報の不適切な取り扱い

    • 319の代理店で、顧客情報 約32万件 が不適切に送受信されていた

    • 11人の出向者による約1.2万件 の顧客情報の不適切な共有

  2. 組織的な問題

    • 代理店と損害保険会社の間で顧客情報を共有する慣行が長年続いていた

    • 出向者が業績評価を意識し、情報を不適切に取得・共有していた

    • 法令違反の可能性を認識しながらも、是正されなかった

結論

三井住友海上は、長年にわたり個人情報の不適切な取り扱いを看過し、組織的な問題が深刻であったため、厳しい業務改善命令が出された。今後、ガバナンスの強化とコンプライアンス意識の向上が求められる。

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