保険に入れなくなる人達

保険屋さんのひとりごと

今はテレビやインターネットでも、沢山の保険会社が様々なCMを展開しております。

安さや新商品を前面に出す会社は新規の顧客を求め、事故対応や信頼感を売りにする会社は優良顧客の流出防止に力を入れています。それだけ沢山の保険会社があるのだから、消費者には様々な選択肢があり、保険会社や商品を選ぶことが出来ます。

しかし、その一方で保険会社から加入や継続を断られたり、希望の条件で加入できない人達がいることをご存知でしょうか。

 

そもそも保険を契約する際には、人によって料金が大きく異なります。

これは、保険の契約毎にリスクが異なるため、公平性を保つためにリスクの高い契約は高い料金を、リスクの低い契約には低い料金を設定するのは当然のことだということは理解していただけると思います。

生命保険であれば年齢や過去の病歴、自動車保険は車の種類や年齢・過去の事故歴、火災保険は地域や物件の築年数などで料金に幅を持たせております。

これらは過去のデータに基づいて、年代や地域・車種などの一定のグループ毎に料金が異なるケースと、過去の病歴や事故歴のように個人毎に料金が異なるケースに分かれます。

前者のグループ毎の場合は、どこの保険会社も同じような格差をつけることで一定の納得感がありますが、後者の個人毎の履歴については各保険会社が独自の基準で判断することができます。

 

保険会社は個人毎の履歴を見て、免責や不担保などの制限を設けて引き受けるケースが多いとは思いますが、中には「引受けを見合わせます」という言い回しでお断りするケースもあります。

免責とは、一定の自己負担額を設定してその金額までは保険が使えないようにすることで、免責5万円の契約で事故に遭い20万円の損害があった時は5万円は本人が負担し、保険会社からは15万円を支払う。不担保とは、契約の中で一部分が使えませんという条件で、生命保険であれば胃腸の病気は5年間使えないとか、火災保険であれば水漏れ事故は補償しないとかになります。

上記のように保険に入りたくても入れない、又は満足な保険に入れない人達が常に一定数いることは確かですが、それもごく一部の人達です。今のところは…

 

生命保険に関しては、医療技術の進歩により多少の持病であれば投薬でコントロール出来るケースが増えているため「引き受けの見合わせ」をすること自体は減っています。がんに罹患した人も治療が終了して一定期間経過すれば加入出来たり、高血圧なども薬でコントロールしていれば無条件で加入できるケースが増えています。

車の保険はノンフリート等級という業界共通の事故歴をカウントする仕組みがあるので、それに沿った割増引きをしますが、事故が続き一番下の1等級になると条件が付くことがあります。また、それ以外でも1年の間に3回とか、2年続けて事故を起こしているとか、保険会社の基準により条件を付けることがありますし、最悪の場合は「継続できません」と言われることもあります。

 

上記のケースはまだ良い方ですが、今後問題になってくるのは火災保険の引き受けでしょう。

火災保険は病歴や事故歴と違い、本人に全く責任がない災害が原因で保険を使うことがありますので、事故歴を理由に継続を断るのは難しい部分もあります。ただ、水道管の事故や雪害による破損などは、日頃のメンテナンスや大雪対策などでリスクを減らすことは出来ますので、そういった事故が多い人には継続の拒否も出来るかもしれません。

従いまして、水漏れ事故が多い契約については、契約期間の短縮や免責・水漏れ不担保などを条件に継続しているケースはあります。ただ、水漏れ箇所を修理していない場合や、対策を講じていない場合は継続を拒否するケースが増えております。

また、最近問題になっているのは火災保険が使えると称してリフォーム契約を迫ったり、事実と異なる事故報告をして保険金を騙し取る業者が増えていることです。この問題は改めて書きたいと思いますが、こういった事故が増えることで火災保険が値上がりしたり、加入しづらくなることも懸念されます。

 

火災保険には、自動車保険のような業界共通の事故データを活用した制度はありませんが、マンションの管理組合などが共用部分に掛ける火災保険では、過去の事故件数により割増引きを採用した制度が始まっております。

いくら災害や偶然な事故とはいえ、何十万、何百万ももらった人と同じ料金だとしたら、不公平に思う人もいるでしょうから、今後は火災保険も事故履歴を活用した割増引きも採用して欲しいと思う。

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